ベトナムにおけるウィーン売買条約
ウィーン売買条約(CISG:United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods)について、ベトナムはこれまで署名しておりませんでした。
しかし、加盟国一覧を確認すると、ベトナムは昨年署名したようで
2017年1月1日から施行開始となっています。
日本・中国間や日本・アメリカ間等の契約では常に意識している条約ですが、今後は日本・ベトナム間等の契約でもより確認する必要が出てくることになります。
加盟国一覧は以下より。
http://www.uncitral.org/uncitral/en/uncitral_texts/sale_goods/1980CISG_status.html
なお、世界貿易の3分の2以上は加盟国間で行われています。
以下簡単に概要について触れます。
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ウィーン売買条約の概要
日本語訳も出ていますし、日本では色々な書籍も出ていますので詳しくは記載しませんが、ウィーン売買条約は以下の場合に適用されます。
*外務省の日本語訳:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty169_5.html
【適用される国】
・締約国間では国際私法による準拠法指定を介さずに適用
・締約国間でなくとも国際私法の準則によって締約法が指定される場合にも適用
【適用される取引】
当事者の営業所が異なる国に所在して(国籍は関係なし)、物品を売買する場合(一部適用除外あり。第2条、第3条参照)
【適用される内容】
広く売買に関して定めています。
・売買契約の成立について
・買主、売主の義務について
・危険の移転について
・解除、損害賠償、利息等について
ウィーン売買条約は任意規定ですが、適用される取引の契約でこれを排除していない場合やウィーン売買条約に反する内容を定めていない場合には、ウィーン売買条約が適用され、当事者の契約を補足するということになります。
日本法やベトナム法等とは異なる考え方の内容も多いので注意を要します。
【ベトナムの留保事項】
上記加盟国リストを見る限り、ベトナムは第96条の留保宣言をしています。
これは契約について方式の自由を定めた第11条の適用を排除して書面主義を取るものですので注意が必要となります。
効果については第12条に記載されています。
第12条
売買契約、合意によるその変更若しくは終了又は申込み、承諾その他の意思表示を書面による方法以外の 方法で行うことを認める前条、第二十九条又は第二部のいかなる規定も、当事者のいずれかが第九十六条の 規定に基づく宣言を行った締約国に営業所を有する場合には、適用しない。当事者は、この条の規定の適用 を制限し、又はその効力を変更することができない。
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■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
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