【ベトナム・労務】労働者を雇用する際の注意点4〜研修費用の返還、組合〜 | 弁護士西遊記〜ベトナム、ミャンマー、ときどき中国。
March 2019  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

【ベトナム・労務】労働者を雇用する際の注意点4〜研修費用の返還、組合〜

労働者を雇用する際の注意点4〜研修費用の返還、組合〜


*ベトナム法務【目次】
 
 本稿では、現地で労働者を雇用する場合に注意が必要な点について解説します。ベトナムで労働者を雇用するポイントとしては、労働関連法令全般が対象になってしまいますが、その中でも主なポイントや改正があった部分を中心に解説したいと思います。
5回に分けて掲載予定です。今回はぁ

【目次】 
労働契約締結・終了の場面:
労働者契約の締結、試用期間
∀働契約の終了

労働契約継続の場面
就業規則
じ修費用の返還、組合(←今ココ)
ツ其癲社会保険

・・・・・

研修費用の返還


会社の費用でベトナム人労働者を一定期間日本等で研修させることがよく行われます。このような労働者がベトナムでの勤務に復帰後すぐに退職することを防止するため、退職時の研修費用の返還について会社と労働者の間で合意するケースが見られます。
 
研修費用返還のルールについて、労働法は以下のとおりになります。
まず、労働法第43条は、「労働者が法律に反して一方的に労働契約を終了」させた場合の労働者の義務を規定しますが、同条第3項は、「(労働者は)本労働法第62条に従って使用者に研修費用を返還しなければならない。」と規定します。
そして、労働法第62条以下では、両当事者が職業研修契約を締結しなければならないとされ、その内容として以下のものを規定しています。
 
a)研修する職業。 
b)研修場所、研修期間。  
c)研修費用。 
d)研修後に労働者が使用者のために就労しなければならないと保証する期間。 
e)研修費用の返還責任。 
f)使用者の責任。
 
労働法でも、研修費用返還のルールは曖昧であるため、いかなる場合に研修費用返還が認められるかが明確でありません。労働法第43条によれば、「労働者が法律に反して一方的に労働契約を終了」した場合に研修費用返還が認められますので、労働者が有期労働契約の継続中に法定の事由がないにも係らず一方的に労働契約を終了すれば、研修費用返還が認められることは明らかといえます。
一方、労働者が使用者と無期労働契約を締結している場合、労働者は45日前の通知さえすれば労働契約を終了できますので(労働法第37条第3項)、当該通知さえあれば、「労働者が法律に反して一方的に労働契約を終了」したには該当しないように思われます。そうすると、無期労働契約については事実上研修費用を返還させることが難しいようにも思われますが、これは結論としては明らかに不合理と思われます。
 
この点はいくつか考え方があり得るところですが、]働法第43条は、「労働者が法律に反して一方的に労働契約を終了」した場合に「(労働者は)本労働法第62条に従って使用者に研修費用を返還しなければならない」と規定しているだけであって、それ以外の場合に研修費用の返還を認めないとは規定しているわけではないこと、∀働法第62条第2項は、職業研修契約の内容として、「研修後に労働者が使用者のために就労しなければならないと保証する期間」や「研修費用の返還責任」を含むと規定していることからすると、使用者及び労働者の間で合意をすれば、「労働者が法律に反して一方的に労働契約を終了」した場合でなくとも、研修費用の返還は認められる余地が十分にあると考えられます。
 
よって、実務上は、労働者を一定期間日本等で研修させる場合には、労働者との間で職業研修契約を締結し、同契約において、就労を保証させる期間、研修費用の返還を求めるケース及び返還を求める研修費用の内訳・金額等を明確に規定しておくことが重要と考えられます。

労働組合


今回労働組合については記事の趣旨から、簡単に留めます。

労働組合については、会社側には設立の義務がありません。
しかし、労働法上、就業規則の制定・登録の手続、懲戒手続、団体交渉、賃金表・賞与規則作成、リストラ等の際に、労働者集団の代表組織の関与が必要になります。そして、労働者集団の代表組織とは、会社内に労働組合があれば、会社の労働組合の執行委員会ですが、会社内に組合がない場合は、上部の労働組合の執行委員会の参加が必要になります。


会社内に組合がない場合これらの手続が煩雑になること、労働組合と団体交渉をして労働協約を締結することで労働者の不満も解消できること(さらに労働協約は期間限定のため就業規則よりも使いやすい場面があります。)などの理由から、労働組合を早い段階で会社内に組織することも検討すべき点です。

■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
弁護士法人キャスト 弁護士 kudo@cast-law.com
キャストグループ キャストベトナムビジネス キャストミャンマービジネス キャスト中国ビジネス 
*ベトナムのビジネスサポートプランご案内は"こちら"から
■東京/大阪/上海/北京/蘇州/広州/大連/香港/ヤンゴン/ホーチミン/ハノイ■-------------------------
pagetop