【ベトナム・労務】労働者を雇用する際の注意点1〜労働契約の締結、試用期間〜 | 弁護士西遊記〜ベトナム、ミャンマー、ときどき中国。
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【ベトナム・労務】労働者を雇用する際の注意点1〜労働契約の締結、試用期間〜

労働者を雇用する際の注意点


*ベトナム法務【目次】
 
 本稿では、現地で労働者を雇用する場合に注意が必要な点について解説します。ベトナムで労働者を雇用するポイントとしては、労働関連法令全般が対象になってしまいますが、その中でも主なポイントや改正があった部分を中心に解説したいと思います。
5回に分けて掲載予定です。

【目次】 
労働契約締結・終了の場面:
労働者契約の締結、試用期間(←今ココ)
∀働契約の終了

労働契約継続の場面
就業規則
じ修費用の返還、組合
ツ其癲社会保険
 
・・・・・

労働契約の締結


1.労働契約の内容

<法令上の記載>

 労働法第23条によれば、労働契約書には次の事項が記載される必要があります。
 
a)使用者またはその法的代表者の氏名および住所
b)労働者の氏名、生年月日、性別、居住住所、身分証明書番号または他の法的書類
c)業務および就労場所
d)労働契約の期限
e)賃金、賃金支払いの形式および期限、手当て、その他の追加支払い
f)昇格・昇給制度
g)勤務時間、休憩時間
h)労働者のための労働保護設備の供給
i)社会保険および医療保険
j)職業研修、職業技能水準の向上
 
 労働契約書のモデル条項を規定する「21/2003/TT-BLDTBXH」の付属フォームに準拠する形で労働契約書を作成すれば、上記条項は概ね網羅されることになります。
 
<実務におけるポイント>

 実務において、労働契約書を整備しておけば会社にとって有利な方向で対処できたにも係らず、労働契約書を十分に検討していなかったために会社にとって不利となる典型的なケースとしては、労働契約の期間、秘密保持、競業禁止といったものが挙げられます。
 
労働契約の期間については、通常は、1年〜3年の有期の労働契約を2回締結した後、無期の労働契約を締結しますが(法律上、3回目の労働契約は無期にする必要があるため。)、この有期の労働契約を締結できる期間や回数について誤解されている企業も多く見られますのでご注意ください。

秘密保持に関しては、労働契約書又はその付属文書において秘密保持の合意がない限り、労働者が秘密を漏洩した場合に、当該労働者を行政庁等に訴えて処分してもらうことができなくなったり、その労働者に対して民事上の損害賠償請求を行うことが難しくなったりすることもあります。

改正労働法の第119
条では、就業規則に会社の経営と技術の秘密および知的所有権の保護を記載すると定めており、2015年3月1日施行の労働法の細則を定める政令(Decree)05/2015/ND-CP(以下「Decree5号」といいます。)によれば、更に会社が保護しなければならない経営と技術の秘密および知的所有権を文書で列挙しておく必要があると規定されています。

競業禁止に関しては、競業禁止の合意自体が労働者の職業選択の自由を害するものとして違法という考え方もありますが、必ずしもこのような合意全てが違法と考える法的理由は乏しいため、法的に有効と認められる余地もあります。

また、結果として違法と判断されたとしても、このような合意の存在自体が道徳的・倫理的に労働者を拘束する効果を持つこともあります。このような合意がないために、会社のコアな営業秘密に触れることができたベトナム人労働者がその営業秘密を売りに競合他社に転職したが、会社としては当該ベトナム人労働者に対して何も法的主張をすることができなくなるような例もあります。

 

試用期間


1.期間

労働者を採用する場合には、法律で許される範囲内で最も長期間の試用期間が設けられるのが通常です。試用期間を設ける場合、労働契約締結のタイミングは、一般には試用期間が終了して正式な労働契約を開始する時点となります。そして、試用期間中は、offer letter等に当事者がサインすることで試用契約を締結することが多いように思います。
 
試用期間の長さは労働法第27条が規定しますが、職務の性質によって長さは異なり、延長は認められていません。具体的には以下のとおりです。但し、季節的な業務の労働者については試用期間を設けることはできません。
1 高い専門又は技術レベルを要する職位の業務の場合 60
2 中間の専門若しくは技術レベルを要する職位又は技術ワーカー及び専門人員の業務の場合 30
3 その他の業務の場合 営業日
 
上記のとおり、ベトナムの試用期間は短く設定されているため、使用者としては、試用期間終了後に労働契約を締結するかどうかの判断ができない場合がしばしばあります。このような場合には、(顱乏笋蠕擇辰12ヶ月以上の労働契約を結ぶか、又は労働契約は結ばないという判断をすることが通常ですが、(髻墨働法では明確に否定されていない類型として、「異なる仕事」で試用期間を設けてその人員の適正を見る方法も検討の余地はあります。
 
2.試用期間中の賃金

試用期間中の賃金は、「同種の賃金」の85%以上というのが労働法の決まりとなっています(労働法第28条)。
よって、法的には、必ずしも労働者として「正式に採用した後の賃金」の85%である必要はありませんが、一般的には、労働者として正式に採用した後の賃金の85%とすることが多いといえるでしょう。モチベーションを高めるために、試用期間中も、労働者として正式に採用した後の賃金の100%を支給するケースも珍しくありません。
 
3. 試用期間の終了

Decree5号によれば、使用者は、労働法第27条第1項及び第2項で規定される試用期間の業務(60日以内・30日以内の試用期間業務)について、試用期間終了の少なくとも3日前に試用期間の業務の結果を労働者に伝えなければならないと規定されましたので、使用者としてはこのようなフィードバックを適切に行う必要があります(なお、本規定は、労働法第27条第3項で規定される試用期間の業務(6営業日以内の試用期間業務)には適用されません。)。


■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
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