【ベトナム】外国人派遣時の労務管理の注意点(労働許可など) | 弁護士西遊記〜ベトナム、ミャンマー、ときどき中国。
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【ベトナム】外国人派遣時の労務管理の注意点(労働許可など)

日本人を派遣する場合のベトナム労務管理上の注意点


*ベトナム法務【目次】
*関連記事:出入国管理上の注意点

ベトナムで外国人が働くためには、ベトナム人労働者との共通の手続のほか、外国人に特有の労働許可の取得等の手続が生じます。

ビザは出入国に関する管理ですが、労働許可書はベトナム国内で働く外国人労働者の管理のため要求されるものであり、労働関連法令により規律されます。外国人の労務管理に関しては、労働法(10/2012/QH13
号、2012年6月18日公布、2013年5月1日施行)第169条以下及びその下位法令に規定されています。
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ベトナムで就労する外国人労働者に必要とされる条件・企業が採用する条件


 労働法第169条では、外国人労働者について、以下の条件を満たす必要があるとしています。

―淑な民事行為能力を有すること。
業務の要求に適する専門レベル・技能・健康を有すること。
ベトナムと外国の法律に規定される犯罪者、又は刑事責任を追及されている者ではないこと。
ぅ戰肇淵爐旅餡抜紐躓ヾ悗発給した労働許可書を有すること。ただし、本法第172条に規定する場合(※筆者注:労働許可書が免除される場合)は除くものとする。
 
また、採用する場合には、「ベトナム人労働者が生産経営の要求にいまだ応えることができない管理業務・監督業務・専門業務・技術労働のみにおいて、外国人労働者を採用することができる」とされており、ベトナム人労働者が要求に十分に応えられない業務に限定されていることに注意が必要です(同第170条第1項)。実際、新しい出入国管理法では、外国人労働者を採用する前には、労働者使用の需要に関する文書を提出の上、書面による承認が必要とされます(同条第2項)。

具体的には以下のような手続となります。
 
外国人の労働者を採用する計画をした日から少なくとも30日前に、雇用者は外国人の労働者の需要について報告書を作成します。
当該報告書には、職位、人数、資格、経験、給与及び労働時間を記載し、雇用者の本社のある地域を管轄する労働・傷病兵・社会福祉局(DOLISA。以下「労働局」といいます。工業団地の場合は管理委員会。)に直接提出しなければなりません。
計画に何らかの変更がある場合、外国人の雇用の承認を得た雇用者は、新たな雇用の予定日から30日前までに追加の説明書を提出する必要があります。
 
∀働局は、報告書又は追加説明書を受領した日から15日以内に、外国人労働者の雇用に関して承認書(外国人労働者採用承認書)を発行します。

労働許可書の取得


上記の労働者の条件に記載のとおり、外国人労働者は、原則として労働許可書の取得が必要となります。
外国人労働者は、出入国手続の際や、当局からの要求がある場合に、労働許可書の提出が必要となります。労働許可書の所持せずに就労すれば、外国人労働者は強制退去となり、使用した企業側にも罰則があります(労働法第171条)
労働許可書の期限は最大2年間です(同第173条)。
 
業務の開始日から少なくとも15営業日前までに、雇用者は就業許可の発行の申請を労働局に提出しなければなりません。
就業許可は、有効な書類の受領日から10営業日以内に発行されます。
「有効な書類の提出から」ですので、すべての書類がない場合や修正が必要な場合には、最終的に充分な書類を提出した日から計算されることになります。
 
<必要書類>
]働許可書申請書、証明写真(4×6を2枚)
▲僖好檗璽箸慮証された写し
7鮃診断書
ぬ吉蛤畩斂製顱憤貭蠅両豺腓縫戰肇淵爐砲ける無犯罪証明も必要)
デぬ疹/労働契約書/業務委託契約書
ε切な能力があることの証明書(管理職・一定の専門家・技術者ごとに要求が異なる)
取得した外国人労働者採用承認書
┫覿箸療蟷餤可証明書・経営登録証明書の公証された写し
 

労働許可書の免除


 労働許可書は以下の場合には取得を免除されています(労働法第172条)。
  • 有限会社の出資者又は所有者(※筆者注:個人に限定される)
  • 株式会社の取締役会の構成員
  • 国際組織、非政府組織の在ベトナムの駐在員事務所、プロジェクトの代表者
    (※筆者注:民間企業の駐在員事務所の代表者は含まれないので注意)
  • 販売活動のために、ベトナムに3ヶ月未満滞在する者(※筆者注:営業目的に限られ、一般の役務提供は対象外となっている。)
  • 生産経営に影響を与える、又は影響を与える恐れのある事故や複雑な技術上の不測の事態が生じ、ベトナム人専門家とベトナム滞在中の外国人専門家では処理できない場合、これらを処理するためにベトナムに3ヶ月未満滞在する者
  • 弁護士法の規定に基づいて、ベトナムで弁護士業の許可書の発給を受けた外国人弁護士
  • ベトナム社会主義共和国が加盟した国際条約の規定に基づいた者
  • 学生としてベトナムで就学後、就労する場合。ただし、使用者は労働に関する省レベルの国家管理機関に7日前までに通知しなければならない。
  • その他政府に規定による場合
外国人労働者が就業許可の免除の受ける場合、雇用者は就業許可の免除の証明のために労働局に対して免除の申請を提出しなければなりません。何もせずに免除になるわけではないので注意が必要となります。この提出は就業の開始から少なくとも7営業日前までになされる必要があり、労働局からの最終確認は3営業日以内になされます。
 
労働契約の下で雇用する雇用者に関しては、労働契約は就業許可が発行されてすぐに締結される必要があります。この場合、雇用者は、労働契約書の締結日から5営業日以内に労働局に対して当該労働契約書のコピーを提出しなければならないとされます。
 

労働許可書の再発行


労働許可書の期限が切れる場合、従前は延長の手続がありましたが、現在の出入国管理法では再発行手続に統一されています。

また、紛失・毀損・記載内容変更の場合にも、再発行手続が必要となります。この場合も、申請の受領から3
営業日以内に発行されます。
 

(査証)取得との関連


出入国管理上の注意点で記載したとおり、就労ビザを取得する前提として労働許可書が必要とされています。

そうすると、労働許可書を取った後に日本でビザを受領し、ベトナムで就労を開始するというのが法律上予定されている手続です。
しかし、健康診断をベトナムで受ける必要があること、そのためにベトナムに来てしまうとベトナムでの無犯罪証明を求められたり、ベトナムでの個人所得税の納税開始時期が早まったりする場合があるため、実務上このような方法を取ることが難しい状況です。

 
実務上、商用ビザ申請の際の招聘人と,就労許可及び就労ビザ申請の際の招聘人が同一の場合、商用ビザで入国し、ベトナム国内で就労許可取得の上、就労ビザ・一時居住カードを取得して出国することなく継続してベトナムに滞在することが可能となっているため、3ヶ月程度の商用ビザを取得の上、ベトナムに入国して就業許可を取得する例が多くなっています。 
 

労働許可関連の手続に違反がある場合


 労働許可書なしに又は期限の切れた労働許可書で労働者を働かせた企業には、以下の罰金があります。
また、企業は1〜3ヶ月の営業停止処分を受ける可能性もあります。


 a) 1人〜10人:30,000,000〜45,000,000ベトナムドン
 b) 11人〜20人:45,000,000〜60,000,000ベトナムドン
 c) 21人以上  :60,000,000〜75,000,000ベトナムドン

 

その他


その他、ここでは詳述しませんが、2016年1月1日施行の社会保険法において、外国人も2018年1月1日より社会保険の強制加入対象になると規定されました。

基数となる賃金は公務員の最低賃金の20ヶ月を上限とすることから、日本人の場合はほぼこの上限に社会保険料率(会社負担18%、労働者負担8%)をかけて保険料を納付することになると思われます。コストとして非常に大きい改正点となっています。
 
■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
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