【ベトナム・投資】2015 年7月1日施行、ベトナムの新投資法のポイント(1)―投資禁止分野、制限付投資分野、投資優遇― | 弁護士西遊記〜ベトナム、ミャンマー、ときどき中国。
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【ベトナム・投資】2015 年7月1日施行、ベトナムの新投資法のポイント(1)―投資禁止分野、制限付投資分野、投資優遇―

新投資法の施行


HCM夜景

 ベトナムにおいて新しい投資法(67/2014/QH13。以下「新投資法」といいます。)が、2014年11月26日に公布されました。
 改正の形式ではなく、新投資法の施行に伴い現行の投資法である59/2005/QH11(2005年11月29日公布、2006年7月1日より施行。以下「2005年投資法」といいます。)が失効し、新投資法に置き換わることとなります。
新投資法は2015年7月1日から施行されます(新投資法第76条)。条文数としては、2005年投資法が全89条あるのに対し、新投資法では全76条となっています。

同時期に新企業法も施行されますが、投資法と企業法の改正について「法により禁止されていない限りあらゆる事業が認められるべきという精神」に基づくとされており、新投資法においてもこのような精神を体現するため、投資禁止分野・制限付投資分野の明記や手続の明確化・簡素化など、2005年投資法からの重要な変更点も多くなっています。
なお、今後、より詳細については政令・通達で規制されることになります。  

※ 新情報が出ましたら、できる限り更新するようにします。
 

【目次】
2015年7月1日施行、ベトナムの新投資法のポイント(1)【←いまココ】
1.投資禁止分野及び制限付投資分野の明記
2.投資優遇

2015年7月1日施行、ベトナムの新投資法のポイント(2)
3.外国投資家に関連する投資手続
2015年7月1日施行、ベトナムの新投資法のポイント(3)
4.投資の形式
5.国会、首相、省の人民委員会の投資政策の承認を受ける投資プロジェクト
6.その他
7.2005年投資法と新投資法との関係

*【全体目次】
*【関連記事】2015年7月1日施行の新企業法についてはこちら
*【外部サイト】三菱東京UFJ銀行「Global Business Insight」でも連載

1.投資禁止分野及び制限付投資分野


1-1.投資禁止分野(新投資法第6条)
まず、投資禁止分野については、2005年投資法下では51分野であったのが、新投資法において6分野に限定され、大幅に削減されています。
すなわち、2005年投資法では、投資禁止分野として以下の4つのプロジェクトの種類が記載されており、さらにその詳細が下位の法令(2006年9月22日付Decree108/ND-CP等の個別法令)で定めるという形式を取っています(2005年投資法第30条。内国投資家、外国投資家共通)。
 
・ベトナムの国防、治安及び公共利益に損害を与える投資プロジェクト。
・ベトナムの歴史遺跡、文化、習慣及び道徳に損害を与える投資プロジェクト。 
・国民の健康又は資源・環境破壊を及ぼす投資プロジェクト。 
・ベトナムへ持ち込む有害廃棄物の処理プロジェクト、又は国際条約に禁止される有害化学物質の生産・使用。 

これに対して、新投資法では、投資禁止分野の詳細を新投資法自体に記載して法律上明確化するとともに、分野を6つにまで絞りました(新投資法第6条・別表1〜3)。
また、禁止分野以外については、投資できることを明記しています(新投資法第5条)。
 
・別表1記載の麻薬に関する事業
・別表2記載の化学物質
・鉱物に関する事業
・「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約別表第 1 」記載の一定の野生動物、動物標本;新投資法別表3記載の希少な野生動物、動物標本に関する事業
・売春事業
・人身,人の身体組織,その部分の売買 ・人の無性生殖に関連する事業活動


 1-2.条件付投資分野
次に、投資に条件が課される条件付投資分野についてです。
2005年投資法では、その施行細則である政令(Decree108/ND-CP)の付属文書その他の下位法令まで見る必要がありました.が、新投資法においては法律上明記されるようになっています。

また、2005年投資法下では、内国投資家と外国投資家の共通の条件付投資分野に加え、外国投資家のみに適用される条件付分野もありました(2005年投資法第29条・施行細則(Decree108/ND-CP)付属文書C等)。
386分野が条件付分野と言われていますが、これは投資法に書いてあるものではなく、昨年の政府の調査によって、全部で391個の法律文書によって386個の制限付き投資分野が規定されていることが判明したというものです。

これに対し、新投資法においては、国防,国家の治安,社会の秩序,安全,社会道徳,市民の健康 を理由として、内国投資家・外国投資家を問わずに一定の条件を満たした場合にのみ認められる分野として267分野が明記され(新投資法第7条・付属文書4)、制限付投資分野の数自体も削減されています。
これらに該当するプロジェクトについての具体的な対象分野と外資比率等の条件は、法令・国会常務委員会・政令・条約により定められ、各省や地方人民委員会等が定めることはできません(新投資法第7条第3項)。
 

2.投資優遇


2-1.投資優遇分野・地域(新投資法第16条)  
また、投資優遇分野については、13項目に分けられて列挙されています(新投資法第16条第1項)。
このような投資優遇分野についても、一定の分野が追加され、また既存の分野も2005年投資法よりも詳細に記載されています(2005年投資法第27条)。例えば、ハイテク補助工業製品、付加価値30%以上の製品、省エネルギー製品の生産、人民信用基金等は、2005年投資法では規定されていなかったものです。

投資優遇地域としては以下の地域が規定されています(第16条第2項)。これは2005年投資法第28条と同様です。
a) 経済・社会状況が困難な地域,経済・社会状況が特別困難な地域
b) 工業団地,輸出加工区,ハイテクパーク,経済区

2-2.それ以外の投資優遇対象(新投資法第15条)
また、投資優遇分野・地域への投資プロジェクに加え、新投資法では以下の分野についても投資優遇措置の対象となることとされ、2005年投資法にはなかった枠組みを追加しています(新投資法第15条)。
 
a) 6兆ドン(※約335億円)以上の資本規模の投資プロジェクトで,投資登録証明書の発給を受けた日又は投資方針の決定日から3年以内に少なくとも6兆ドンを支出するもの
b) 農村地帯において500人以上の労働者を使用するプロジェクト
c) ハイテク企業,科学技術企業及び科学技術組織

2-3.投資優遇の内容・手続(新投資法第16条、第17条)
投資優遇措置としては、^貭蠅隆限又は投資プロジェクトの期間全体についての企業所得税の減免、固定資産を設置するための輸入商品、並びに原料、物資及び部品に対する輸入税免除、C和紂土地使用料、土地使用税の減免を規定しています(新投資法第15条第1項)。

2005年投資法と枠組みは同様ですが、どのような優遇があるかについて整理して記載されており、わかりやすい規定となっています。 優遇措置の内容及び優遇措置を受ける根拠・条件は、投資登録証明書に記載されます(投資登録証明書(IRC)は、現在の投資証明書(IC)に変わる概念であり、次回の解説で説明します。)。
もっとも、投資登録証明書が不要な投資プロジェクトについては投資登録証明書が発給されません(新投資法第17条)。

なお、新投資法下の法令において、投資優遇措置が2005年投資法下のものより有利である場合、残りの優遇措置期間中、新たな優遇措置を享受できるとされています。
逆に、不利になる場合には、2005年投資法の優遇措置が継続されます。もっとも、国防,社会秩序、市民の健康、環境保護等を理由とする優遇措置の変更の場合には、2005年投資法の優遇措置の継続はできず、代わりに実損害を課税所得から控除、投資家の活動目的の変更又は投資家の損害回復の支援をすることによる救済を与えるものとしています。この場合、救済に関する法令が出てから3年以内に請求が必要とされているので注意が必要です(投資法第13条)。

*(2)に続く

■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
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