【ベトナム・労務】労働法の規定の詳細を定める 新Decree(05/2015/ND-CP)の重要ポイント(2)―労働協約、賃金、労働規律違反など― | 弁護士西遊記〜ベトナム、ミャンマー、ときどき中国。
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【ベトナム・労務】労働法の規定の詳細を定める 新Decree(05/2015/ND-CP)の重要ポイント(2)―労働協約、賃金、労働規律違反など―

前回の続き


ベトナム労働法に関する新Decree5号(05/2015/ND-CP)について、前回からの続きです。

【ブログ目次】
*前回:労働法の規定の詳細を定める 新Decree(05/2015/ND-CP)の重要ポイント(1)
0)Decree5号の目次
1)労働契約の署名者
2)定年退職年齢を超える労働者(高齢労働者)との労働契約
3)試用期間結果の通知
4)異なる業務への一時異動
5)団体交渉の定期的開催
*今回:労働法の規定の詳細を定める 新Decree(05/2015/ND-CP)の重要ポイント(2)
6)労働協約の署名者
7)労働協約に関する国家管理機関の責任
8)賃金の支払い原則
9)休業、年次有給休暇等の賃金基準
10)労働規律違反を処分する手順
・・・・

6.労働協約の署名者(第18条)


労働協約には、事業所内労働協約と産業別労働協約、その他の労働協約がありますが(労働法第73条)、企業内の団体交渉に基づく労働協約である事業所内労働協約については、労働法第83条以下に記載があります。
事業所内労働協約の署名者について、労働法では、労働者側=労働者集団の代表者、使用者側=使用者または使用者の代表者とされています(労働法第83条第2項)。

これに関し、Decree5号は、以下のとおりと規定しました。
労働者側: 事業所内労働組合の代表、まだ事業所内労働組合がない場合には直接管轄労働組合の代表
使用者側: 法定代表者、単位・機関の代表者、労働者を使用している個人
 

7.労働協約に関する国家管理機関の責任(第19条)


締結された労働協約について、労働法では、締結から10日以内に国家機関に送付することを記載しているのみでした(労働法第75条)。

Decree5号では、労働協約に関して、国家管理機関側の責任を明記しました。
すなわち、労働協約の受領から15営業日以内に、もし管理機関が法律に反する事項や適格な権限者によって署名されていないことを発見した場合、当該労働協約が無効であることを人民委員会に書面で宣言し、当事者に対して情報共有及び修正のために通知書が送付されます。
また、まだ有効ではない労働協約について、管理機関は、法令に合致するように修正し、再送付するように当事者に書面で求めなければならないとされました。  

8.賃金の支払い原則(第24条)


Decree5号は、賃金に関しても規定しています。
賃金については、労働法第90条以下で規定されています。賃金の支払い原則について、労働法では、直接・満額・期限通りの支払いを原則としており、この点はDecree5号でも一緒です。
労働法では、「特別の場合」には1カ月までの賃金の支払い遅延を認めています。

この「特別の場合」については具体的に規定がありませんでしたが、Decree5号では具体的に規定しました。
すなわち、使用者は、自然災害、火災、またはその他使用者が対策を取っても賃金を労働契約の期限通りに支払うことができない不可抗力の場合には、賃金の支払いを遅らせることができるとされました。但し、労働法と同様1カ月を超える遅延は認められません。

さらに、支払遅延がある場合、労働者は、賃金に加え以下の追加金額を受領する権利があるとされました。
15日未満の遅延: 追加金額なし
15日以上の遅延: 少なくとも遅延した賃金と同額の追加金額に、賃金の支払時期の国家銀行により発表される1カ月の最高預金金利を付したもの。
 

9.賃金休業、年次有給休暇等の賃金基準(第26条)


 また、Decree5号は、労働法では明記されていなかった休業時や有給休暇等の賃金算定基準を明記しました。

 〇藩兌圓硫畆困亡陲鼎休業の場合(労働法第98条参照)
  :労働契約の合意金額を基準
 年次有給休暇、有給での祝日・テト休暇、有給での施用休暇の場合(労働法第111条、112条、115条、116条参照)
  :前月の労働契約の合意金額を基準
 Lぞ嘆修陵給休暇の清算の場合(労働法114条参照)
  :過去6カ月の労働契約の賃金平均(6カ月働いていない場合は、働いた期間)を基準
 す駝韻竜遡海里燭瓩琉貉休業、規律違反審理中の一時業務停止期間の場合(労働法第100条第2項、129条参照)
  :前月の労働契約の合意金額を基準
 セ藩兌圓竜ヾ錙設備等に損害を与えた場合の損害賠償の基準となる賃金(労働法第130条参照)
  :強制社会保険料、健康保険料、失業保険料及び個人所得税を控除した労働者の手取り金額  
 

10.労働規律違反を処分する手順(第30条)


 労働規律違反の処分は、労働法第123条で定められています。
 Decree5号では、労働規律及び就業規則についても詳細を定めていますが、労働法で定められていなかった労働規律違反の処分をすることができる者については、以下のとおり定めています。
 すなわち、労働者の労働規律違反を処分する決定を発行する権限を有する者は、労働契約に署名する資格のある者であり、労働契約に署名する権限を委託された者は、戒告処分しかできないものと規定されています。
 その他、同条では、労働規律違反の処分について具体的な手続も定めていますので、懲戒手続をなす場合には必ず参照する必要があります。

■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
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