【ベトナム・税関】EPE(輸出加工企業)の実在庫と税関在庫の不一致 | 弁護士西遊記〜ベトナム、ミャンマー、ときどき中国。
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【ベトナム・税関】EPE(輸出加工企業)の実在庫と税関在庫の不一致

EPE(輸出加工企業)とは


*関連:2015年1月1日施行、新税関法のポイント

近時、EPEに対して、実在庫と税関在庫の不一致を理由に追徴課税されることが増えています。

EPEとは、英語のExport Processing Enterprises、日本語の輸出加工企業の略称であり、
〕⊇于湛区内で設立され、操業している企業、
又は、
工業団地内若しくは経済区内で操業し、製品すべてを輸出する企業
のことを指します。

EPEは、EPEにINする原材料等について、国外にOUTすることを条件に、関税及び付加価値税(VAT)をかけないまま取引ができています(=保税)。

しかしながら、このINとOUTの不一致を指摘され、その部分に課税されることで大きなインパクトになる例が出てきており、注意が必要になっています。
・・・・

なぜINとOUTが不一致だと課税されるのか?


そもそも、なぜINとOUTの量がずれると課税されるのでしょうか。

EPEは、INされた貨物をOUTすることを条件に保税取引をしているわけですから、OUTできていない(と税関に認識される)場合、その貨物についてはベトナム国内に販売されたのと同様に認識されてしまいます。

通常の企業であれば、ベトナム国内に売る場合は関税とVATを支払って輸入しているため、EPEがOUTできなかった貨物についても通常の国内輸入同様に関税とVATを払うべき、ということになります。
 

INとOUTの不一致の原因はなにか?


本ブログでは、基本的な解説に留めますが、不一致の主な原因は以下のとおりです。

1)税関在庫と会社実在庫とが、別途管理されていること
2)会社実在庫の変動が、税関在庫に反映されていないこと


まず、INについては、税関も基本すべて把握しており、会社もそのまま処理するため、税関と会社の認識に相違がないのが通常です。
しかし、OUT部分の認識は異なります。

上述1)の部分ですが、税関は、EPEの在庫について、3カ月に1回EPEから提出されるレポートに基づいて税関在庫を把握しています(128/2013/TT-BTC第49条第4項参照)。
このレポート管理・作成には、税関の電子システムと結びついたソフトが使われているのが通常です。
これに対して、会社の実在庫は管理すべき項目が異なるため、各企業において管理ソフトが導入されており、税関へのレポート作成のシステムとは別途管理されているのが通常です。
これがズレの前提になっています。

このズレの原因があったとしても、会社在庫の変動をその都度税関在庫に反映できていれば問題ないわけですが、厳密にそのような管理をすることは難しく、またEPEによってはそのような管理が意識されていない場合もあります。
反映できていな主なズレの原因は以下のようなものです。
・税関に報告している製品ごとの原材料の標準使用量(Production Norm)と、実際の歩留り率の相違
・不良品、かけら部材等の処理を、税関在庫に反映していない etc...


さらに、会社によっては
3)会社システム上の在庫と実在庫との不一致
があり、二重のズレが生じている場合もあります。
 

不一致の場合の罰則等


上述のように、INしたのにOUTしていない場合には、その部分について関税とVATを納めていないので、
1)関税とVATの課税 
がなされます。

また、
2)脱税したことによる罰金(違反の性質、程度に応じ、脱税金額の1〜5倍。97/2007/ND-CP参照)
3)本来申告すべき時点からの利息

も課されることになります。

さらに、
4)多額の脱税行為があった、若しくは脱税行為に対する行政処罰を受けたにもかかわらず、再び違反した場合、法定によって刑事責任
も追及される可能性があります(刑法第153条、154条)。
密輸罪となるため、最高で「12年以上20年以下の懲役、無期懲役又は死刑」もありえます。
実際は、まだEPEのズレでこのような刑罰は聞いたことがないですが、法令上は可能性があるということになります。
 

事後検査


2015年1月1日施行の新税関法では、事後検査について詳細に規定されました。
事後調査の期間は、申告してから5年なので、過去5年分については検査の可能性があります。

詳細は別の機会に書きたいと思いますが、会社において事後検査がなされる場合、
・検査5日前までに検査決定書送付
・検査は10日間(+10日間の延長可能)
・検査後5営業日以内に報告書作成
・検査後15日以内に結論書作成・送付
という流れになります。
 

ズレ解消の対策


対策としては、まず会社内で税関在庫と実在庫のズレの重要性を認識した上で、その原因を把握することが必要になります。
その上で、INとOUTのズレを解消できるように日々管理を強化しなければならないことになります。
(Normの修正は重要ですが、虚偽のNorm登録自体も規定上違法ですので注意が必要です。)

どうしてもズレが発生する場合には、定期的に納税する等して罰金・利息を最小限にとどめ、リスクを最小化することが大切です。

■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
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