【ベトナム・労務】ベトナムの残業代(労働法第97条) | 弁護士西遊記〜ベトナム、ミャンマー、ときどき中国。
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【ベトナム・労務】ベトナムの残業代(労働法第97条)

残業代について


 ベトナム労働法(No.10/2012/QH13)第97条は、時間外労働、深夜労働の賃金について定めています。
 基本給に対する残業代の比率は、日本に比べても非常に高い一方、労働法の条文をみてもすぐに計算方法がわからない構造になっています。実際、様々な企業において、過去の担当者がやっていた方法を引継いで計算している例が多く、実際に法律に基づく計算方法なのかどうかが検証されていない例もちらほら。

 そこで今回は、ベトナム労働法の計算方法を簡単に整理します。
・・・・

労働法第97条


労働法第97条の和訳は以下のとおりです。
 
第97条 時間外労働、深夜労働の賃金
1. 労働者が時間外労働を行った場合、以下の割増率で割増賃金が支払われるものとする。
a) 通常勤務日の時間外労働の場合は、少なくとも150%とする。
b) 週休日の時間外労働の場合は、少なくとも200%とする。
c) 祝日または有給休暇の時間外労働の場合は、少なくとも300%とする。日給の労働者に対しては、それに加えて祝日または有給休暇日の賃金を支払う。 2. 深夜労働を行った労働者に対しては、少なくとも通常の賃金に基づいて算出される賃金の30%に相当する割増賃金が支払われるものとする。
3. 深夜に時間外労働を行った労働者に対しては、本条第1項、第2項の規定に基づく賃金以外に、昼間の賃金に基づいて算出される賃金の20%に相当する割増賃金が支払われるものとする。
 

時間外労働・深夜労働の計算方法


労働法第97条に基づくと、下記のとおりの計算式となります。
以下に関しては、まだ疑義があるところであり、専門家からも複数の意見がありますのでご注意ください。
 
通常勤務日 週休日 祝日・有給休暇
規定時間内の労働 A×100%=A A×200% A×300%
規定時間を越えた労働 A×150% A×200% 【※1】 A×300% 【※2】
深夜労働 A+(A×30%) =130%A A×200%)+(A×30%)+(A×200%×20%)=270%A 【※3】 (A×300%)+(A×30%)+(A×300%×20%)=390%A 【※4】
規定時間を越えた労働で、かつ、深夜労働  A×150%)+(A×30%)+(A×20%) =200%A

◆A×150%)+(A×30%)+(A×150%×20%) =210%A
【※7】
(A×200%)+(A×30%)+(A×200%×20%)=270%A 【※5】 (A×300%)+(A×30%)+(A×300%×20%)=390%A 【※6】

【※1】について
週休日に通常勤務日の規定時間を越えた労働を行った場合については規定がなく、「(A×200%)+(A×150%−A=250A%)」の趣旨である可能性もありますが、週休日に働くこと自体「時間外労働」とされており、規定時間内と規定時間を超えた場合いずれも200%Aとなると考えられます(最後の注も参照)。

【※2】について
祝日・有給休暇に通常勤務日の規定時間を越えた労働を行った場合については、規定がなく、「A×300%+A×150%−A=350%A」の趣旨である可能性もありますが、祝日・有給休暇に働くこと自体「時間外労働」とされていることに鑑みれば、規定時間内と規定時間を超えた場合いずれも200%Aとなると考えられます(最後の注も参照)

【※3】について
「週休日の賃金(200%)」(第1項(b))+「通常の業務日の賃金の30%(深夜労働)」(第2項)+「週休日の賃金の20%(時間外労働)」(第3項)を指してます。【※1】【※2】と同趣旨で、通常の勤務日であれば規定時間内であったとしても、休日である以上、時間外労働となり、【※3】も【※5】も同様となると考えられます(最後の注も参照)

【※4】について
「祝日・有給休暇の賃金(300%)」(第1項(c))+「通常の業務日の賃金の30%(深夜労働)」(第2項)+「週休日の賃金の20%(時間外労働)」(第3項)を指してます。 労働・傷病兵・社会福祉省(MOLISA)は、2014年12月12日、祝日・有給休暇中の深夜労働に関するレターである4163/LDTBXH-LDTLを発行し、深夜に時間外労働を行った者の賃金については、「300%A + 30%A + 20%× (300%A) = 390%A」とすることを明らかにしました。【※1】【※2】と同趣旨で、通常の勤務日であれば規定時間内であったとしても、祝日・有給休暇である以上、時間外労働となり、【※4】も【※6】も同様となると考えられます(最後の注も参照)

※労働・傷病兵・社会福祉省(MOLISA)Website参照
http://www.molisa.gov.vn/vi/Pages/ChiTietVanBan.aspx?vID=33461

【※7について】
Circular23/2015/TT-BLDTBXH(2015年6月23日発布、2015年8月8日施行)が発布され、通常勤務日の規定時間超&夜間労働が2通りに分かれることが規定されました。
,録写誅働時間以外の日中に残業していない場合、△脇中に残業している場合です。

【※1】【※2】【※5】【※6】について
これらについては、第97条(a)に鑑みて、150%を乗じる必要があるという見解を聞くことがあります。
私としましては、第97条(a)が常勤務日の時間外労働」と規定されており、条文の文言上、これら4つのように週休日や祝日・有給休暇に適用することはできないと考えています。もっとも、その条文の趣旨を援用してそのような計算方法を採用するという可能性もゼロではありません。


■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
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