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2016年施行の社会保険法では、「2018年1月1日から、外国人が強制社会保険に加入できる」とされていましたが、2018年に入っても具体的な施行について案内する政令がないため、この規定の運用が不明確な状況が続いていました。
これに関して、政府は、2018年10月15日、ベトナムで働く外国人である労働者に対して強制加入社会保険についての社会保険法及び労働安全衛生法をガイダンスする政令143/2018/ND-CP 号(以下「政令第143号」という)を公表しました。政令第143号は2018年12月1日より効力が発生します。
本稿では、政令第143号に定める外国人労働者の社会保険制度の概要を説明します。
なお、より詳細の内容を以下の外部記事に執筆しておりますのでご覧ください。
*【2018年12月1日開始】外国人労働者の強制社会保険に関する新政令の概要
1)強制加入社会保険の加入対象
危惧されていたような全ての外国人労働者に対して社会保険加入を強制するものではないですが、以下の二つの条件を満たしている外国人労働者が対象となります。
• 労働許可証(ワークパミット)又はベトナム当局より発給される実務証明書、実務公証書を持っている労働者
• 使用者との無期限労働契約又は1年間以上の有期限労働契約を締結する労働者
2)強制社会保険加入対象とならない外国人労働者
もっとも、以下の二つの対象は強制社会保険加入が必要ありません。
• 企業内人事異動の外国人労働者
ベトナムで就労する外国人労働者に関する労働法の一部条項の詳細規定の政令11/2016/ND-CP に基づき、「企業内人事異動」の外国人労働者とは、ベトナム現地商業拠点を設立した外国企業の管理者、代表取締役社長、専門家、技術的な労働者として当該企業に 12 ヶ月以上前に採用され、企業内からベトナム現地商業拠点に一時的に異動 する者をいいます。
※本社での12ヶ月以上の採用が条件になっているのでご注意ください。
• 満 60歳の男性及び満 55歳の女性の外国人労働者。
3)強制加入社会保険の納付額及び納付方法
3.1 強制社会保険に加入する労働者の納付額及び納付方法
労働者は、2022年1月1日から、退職年金、遺族基金の基金に月給の8%の金額を納付します。
3.2 強制社会保険に加入する使用者の納付額及び納付方法
使用者は以下の通り毎月の保険料を給与基金から納付します。
- 疾病・妊娠出産基金に 3% (2018年12月1日からの納付)
- 労働災害、職業病基金に 0.5% (2018年12月1日からの納付)
- 退職年金・遺族基金に 14%(2022年1月1日からの納付)
納付の基準となる給与は、一般最低賃金の20倍が算出対象額の上限となります。
現在、一般最低賃金(=公務員の最低賃金)は、現在139万VND/月。20ヶ月分=2780万ドンです。
そのため、対象者について、当初は、2780万VND×3.5%で、97万3000VNDが使用者負担の上限となります。
2020年からは、その時点での一般最低賃金の20倍に、年金を含むそれぞれの社会保険料をかけるということになります。
なお、一般最低賃金とは公務員の最低賃金であり、通常の労働者の最低賃金とは異なるのでご注意ください。
このように、社会保険料の納付については12月1日からの施行の政令で明記されました。
もっとも、ホーチミン社会保険当局によれば「2018年12月1日からすぐに外国人労働者が社会保険法を加入できるわけではありません。なぜなら、ホーチミン市社会保険当局が本政令143号に対する詳細的ガイダンスの文書(例:通達又は決定)を待っている状況のためです。現在、詳細的ガイダンスの文書がいつ公表されるかは、社会保険当局もまだわからない。」と言われており、実務が不明な状況です。
対象となる労働者の確認方法の実務も含め、今後のガイダンスや実務も注目する必要があります。
■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
CAST LAW VIETNAM CO., LTD. 代表弁護士 kudo@cast-law.com
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