【中国・ベトナム】税関法制の基礎(その1) | 弁護士西遊記〜ベトナム、ミャンマー、ときどき中国。
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【中国・ベトナム】税関法制の基礎(その1)

税関法の基礎


更新が少し空いてしまいました。
昨日10℃以下の大阪から30℃超えのホーチミンに戻り、身体がなかなか環境の変化になれていません。
今年は暖かいクリスマスを経験して、年末日本に戻ります。

さて、税関関連法制は、弁護士が扱うことが少ない分野ではありますが、実務上は輸出入をする企業に切っては切り離せない分野であり、かつ、問題も多く発生している分野ですので、不定期に記事にしていこうかと思います。
セミナー等で詳細を取り上げていますので、ここではあまり細かくならないように、中国やベトナムに共通する基礎的な部分の解説をしたいと思います。

今回は、中国・ベトナム等各国共通の関税の基礎の話題です。
・・・・

関税の趣旨


そもそも各国の税関が「関税」をかけるのはなぜでしょうか。
関税をかけることで、外国から国内に物が入ってくる際、買主側としては物の代金だけではなく、関税も支払う必要がでてきます。

そうすると、その関税は

(1) 直接的には そのまま国家の収入につながり、
(2) 間接的には 「関税を支払うくらいなら、国内から同様の物を調達しよう」として、国内市場や国内企業の保護につながります。

この(1)国家収入確保と(2)国内産業保護が、関税の主な役割です。

関税率を高くすれば、その分外国から物を輸入するより、国内で調達するという考えにつながりますし、外国企業側にとっては、「輸出入で物を入れるよりもその国で物を製造したほうが安上がり」と考え、その国で物を作るようになり産業発展に寄与する場面もあります。
(もっとも、その産業が国内資本の企業に限定されるべきという政策が取られている場合には、投資規制がなされることになります。)

 

関税の計算方法


関税の納税義務者は、貨物を輸入する者です。
また、課税物件は、輸入貨物となります。

関税の計算をするときは、
関税額=課税標準(輸入貨物の「価額」)×関税率(HSコードにより分類される)
で計算されます。

このとき、課税標準である輸入貨物の「価額」をどのように決めるのか、HSコードの分類が何になるのか、
ということが関税額に直接影響することになりますので、税関論にとっても大きな問題になります。
 

WTO・WCOの役割


課税標準である輸入貨物の「価額」をどのように判断するかや、HSコードの分類をどうするかということについては、詳細は各国の法令においても定められていますが、世界的な輸出入の段階での重要なテーマであるため、WTO(World Trade Organization)やWCO(World Customs Organization)において統一的な規定がなされています。

たとえば、課税標準である輸入貨物の「価額」をどう評価すべきかという「関税評価」については、「1994年の関税及び貿易に関する一般協定第7条の実施に関する協定」(WTO関税評価協定)が規定をおいており、WTO加盟国においてその原則が統一されています。
WTOの現在の加盟国数は160カ国・地域です。
中国は2001年12月11日に、ベトナムは2007年1月11日にWTOに加盟しました。

他方、WCOは、各国の関税制度の調和・簡易化と関税行政の国際協力を推進する国際機関で、本部はベルギーのブリュッセルに置かれており、WCOの現在の加盟国数は179カ国・地域です。
1)商品分類や税関手続に関する諸条約の作成・見直し・統一的解釈
2)国際貿易の安全確保及び貿易円滑化に関するガイドライン等の作成・推進
3)WTOが主管する関税評価及び原産地規則に係る協定の統一的解釈及び適用のための技術的検討
4)国際的な薬物及び知的財産権侵害物品等の監視・取締りの協力、関税技術協力の推進
などを主に行う機関となっています。

例えばHSコードについての統一システムに関する条約であるHS条約( International Convention on the Harmonized Commodity Description and Coding System/商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約)を策定・改定しているのもWCOです。
中国は1983年7月18日に、ベトナムは1993年7月1日に(なお、日本は1964年6月15日)WCOに加盟しています。

したがって、各国の税関法制を確認する場合は、まずは条約レベルで確認することで理解が早くなりますし、条約で統一されている部分は基本的に各国同様の制度になっており、実は大きな違いが少ないことがわかると思います。

次回以降は、課税標準(関税評価論)の部分について触れたいと思います。

■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
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