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【2018年11月追記:その後、政令が公布されました。具体的にはこちらの記事を確認ください。
→外国人労働者の強制社会保険に関する新政令143号の概要(2018年12月1日施行)外国人労働者の強制社会保険に関する新政令143号の概要(2018年12月1日施行)】
*2016年1月1日施行 ベトナム社会保険法改正(1)
*2016年1月1日施行 ベトナム社会保険法改正(2)
先日、外国人の強制社会保険加入に関する草案の報道について記載しましたが、草案を確認しましたので概要を記載します。
2016年施行の社会保険法では、「2018年1月1日から、外国人が強制社会保険に加入できる」とされていますが、具体的な施行について案内する政令がないため、この規定の運用が不明確な状況が続いています。また、駐在員については実際に社会保険が適用される可能性がない場合が多いため、各外国企業から適用への反対意見も多く出されている状況です。
現在、労働社会省は、ベトナムで就業する外国人労働者の強制社会保険加入の義務化と労働上の安全確保をガイダンスする政令草案についての意見を聴取しています。
この政令が承認される場合、外国人の強制社会保険加入について下記のように適用されます。
1.適用対象について
全ての外国人労働者が、強制社会保険加入しなければならないものではないが、下記の二つの条件を有する外国人労働者が対象となります。
注意点:任意加入社会保険に関しては、本政令はまだ規定していません。
2.社会保険制度について
外国人労働者の社会保険制度は、ベトナム人労働者と同じ制度を適用され、次のとおりです。
もっとも、妻が出産する場合の社会保険に加入している男性労働者についての制度や、外国人労働者の親族がベトナムへ来られない場合にどうやって毎月遺族給付金を受けるかの方法については規定されていません。
3.強制加入社会保険に加入する労働者の納付額および納付方法について
外国人労働者は、月給の8%の金額を納付しなければならず(本人負担)、雇用主は、月給の最大18%の金額を納付しなければならないとされています(会社負担)。
具体的な納付率については現時点で不明です。
ベトナム人の場合、会社負担は17.5%であり、保険料の配分先は、14%が退職者・死亡者遺族基金、3%が疾病・妊娠・出産基金、0.5%が労働災害・職業病基金となっています。
4.社会保険一時金について(数年でベトナムから外国に帰国する外国人労働者制度)
労働契約期間が終わった時、延長せず、帰国したい場合、社会保険給付金を一時金として受け取ることを求めることができます。
社会保険一時金は、社会保険料納付済み年数に応じて1年毎に次のとおり算出されます。
a) 2014 年以前の納付年数に応じて、社会保険料算出基礎となった月給の平均の1.5ヵ月分。 b) 2014 年以降の納付年数に応じて、社会保険料算出基礎となる月給の平均の 2ヵ月分。 c) 社会保険料納付済み期間が 1 年未満である場合、社会保険一時金は納付した金額 に相当するが、最高額は社会保険料算出基礎となる月給の平均の 2 ヵ月分を超えてはならない。 |
5.社会保険加入の順序及び手続について
外国人労働者の社会保険加入の順序及び手続は、ベトナム人労働者の手続きと同じとされています。
初回の社会保険加入の申請書類は以下のとおりです。
6.効力について
本政令はまだ施行されていないものですが、施行されれば、2018年1月1日から効力を生じると規定されています。
社会保険法における施行日と同様、本年1月1日から効力が発生する可能性があるため注意が必要です。
■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
CAST LAW VIETNAM CO., LTD. 代表弁護士 kudo@cast-law.com
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