【ベトナム・労務】労働安全衛生法に基づく労働災害(労災)と職業病(上) | 弁護士西遊記〜ベトナム、ミャンマー、ときどき中国。
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【ベトナム・労務】労働安全衛生法に基づく労働災害(労災)と職業病(上)

労働安全衛生法の規定

ベトナムにおいても、労働関係法令上、労働災害および職業病の場合には、労災保険制度が存在します。労災保険は、社会保険料の一部として支払われています。

 

2016年7月1日から施行されている労働安全衛生法85/2015/QH13号に基づき、労働災害および職業病に基づき手当を受けられる場合は、下記の場合です。

なお、2016年1月1日から施行されている社会保険法58/2014/QH13の第42条以下においても労働災害、職業病に関する規定がありましたが、この労働安全衛生法の施行とともに廃止されています(労働安全衛生法第92条)。

 

今回は労働者の権利まで、次回は雇用者側の責任について整理します。

1.労働災害と職業病

■労働災害

職業病・労災保険に加入している労働者は、以下の条件を満たせば、労災保険制度を享受することができる。

ー,粒胴罎琉譴弔乏催する事故に遭った場合。

a.職場におけるまたは勤務時間内に労働法または事業所の就業規則の許容範囲を超えない必要な生活需要(休憩、シフト間の食事、支給食品の飲食、生理中の衛生、 授乳、お手洗い)に対応する時を含む勤務時間内に職場において事故に遭った場合。
b.雇用者または書面による委任された者の要求に従って仕事をしたとき、勤務時間以外または職場外で事故に遭った場合。
c.住宅から職場へまたは職場から住宅への通勤中に事故に遭った場合。(適切な時間とルート)

第 1項に規定される事故に遭ったことにより労働能力が 5%以上喪失した場合。

 

■職業病

職業病・労災保険に加入している労働者は、以下の条件を満たせば、職業病の保険制度を享受することができる。

]働安全衛生法の第37条第1項の規定に従って医療省の大臣により公布される職業病一覧に該当する職業病に被災した場合。

∨楾爐a)点に規定する疾病の被災により労働能力が 5%以上喪失した場合。

 

2.労働者の権利

労働安全衛生法85/2015/QH13号に従って、労働災害・職業病の被災を受けた労働者は以下の権利を受けられる。

 

(1)補償金(1回)の支給(労働能力喪失率および職業病・労災保険基金の加入期間に基づいて計算される。)

対象:5%~30%の労働能力喪失率

労働能力喪失率に基づく
+労働能力喪失率は5%である場合:基本給の5倍に相当する金額が支給される。
+労働能力喪失率は5%を超える場合:1%進むごとに基本給の0.5倍に相当する金額が増額される。

職業病・労災保険基金への加入期間(年数)に基づく:
+1年未満の場合:基本給の0.5ヶ月
+1年以上の場合:加入期間1年につき、基本給の0.3ヶ月

1回の支給額=[基本給の5ヶ月分+(労働能力喪失率‐5%)X0.5ヶ月]+[基本給の0.5ヶ月分+(保険基金の加入年数−1)X 0.3ヶ月]

 

(2)毎月の継続支給

対象:31%以上の労働能力喪失率

労働能力喪失率に基づく
+労働能力喪失率は31%である場合:基本給の30%の金額が支給される。
+労働能力喪失率は31%を超える場合:1%進むごとに基本給の2%の金額が増額される。

 

職業病・労災保険基金への加入期間(年数)に基づく:
+1年未満の場合:基本給の0.5%
+1年以上の場合:加入期間1年につき、基本給の0.3%

毎月の支給額=[基本給X(30%+(労働能力喪失率ー31%)X2%)])+[基本給の0.5%+(保険基金の加入年数−1)X基本給の0.3%]

 

(*)職業病・労災保険基金への保険料率

2017年6月1日より、社会保険法第 2 条 1 項 a、 b、 c、 d、 đ、 h に規定される労働者に対しては、社会保険算定用の基礎となる賃金の 1%から 0.5%に軽減される。社会保険法第 2 条 1 項 e に規定される労働者に対しては、基本給の 1%から 0.5%に軽減される。
(これにより社会保険料率が18%→17.5%に軽減。)

 

社会保険法第2条第1項
a) 無期限労働契約・有期限労働契約・3ヶ月以上12ヶ月未満の季節的な業務または特定業務に関する労働契約に基づいて雇用される労働者。
b) 1ヶ月以上3ヶ月未満の期間の定めのある労働契約に基づいて雇用される労働者
c) 公務員
d) 防衛工員、公安工員、情報管理組織に従事する者
e) 人民軍事および人民公安の分野で有期限で勤務する下士官・兵士、生活費を支給される軍事・公安・情報管理の学習者
đ) 人民軍事専従の士官・軍人、人民公安専従の士官・下士官および技術専門の仕官・下士官、軍人と同じく給与を受ける情報管理に関わる業務に従事する者
h) 企業の管理者、給与を受給している協同組合の運営管理者

(3)サポート手当

対象:81%以上の労働能力喪失率、および脊髄損傷や両目失明、両足麻痺・切断、神経障害

労働者は、毎月の支給額以外、基本給と同等の毎月のサポート手当を受けることができる。

 

(4)労働災害・職業病による死亡した労働者に対する手当

死亡した労働者の家族は当該労働者が死亡した当月の基本給の36倍に相当する金額を受けられ、下記の場合に該当する時、社会保険法の規定に従って手当制度を享受することができる。

  • 労働災害・職業病により勤務中に死亡した労働者
  • 労働災害・職業病により初回治療中に死亡した労働者
  • 労働能力喪失率の検査をまだ受けておらず、障害・疾病の治療中に死亡した労働者

(5)その他

退院後も、健康状態が思わしくない場合は、 5 日〜10 日のリハビリを受けることができる。そのために休暇数日は雇用者および事業所内労働組合の執行委員会によって決定され、事業所内労働組合をまだ設立していない場合、休暇数日は雇用者によって決定される。健康回復の休暇期間は以下の通り規定される。

  • 労働災害・職業病により労働能力の喪失率が 51%以上の場合は 最大10日とする。
  • 労働災害・職業病により労働能力の喪失率が 31%から 51%までの場合は 最大07 日とする。
  • 労働災害・職業病により労働能力の喪失率が 15%から 30%までの場合は 最大05 日とする。
  • 必要に応じて、適切な補装具が支給される。
  • 労働災害・職業病の被災を受けた労働者は雇用者に新たな仕事に配置される際のトレーニングが必要である場合、当該労働者はトレーニングに関する費用を支援される。支援額がトレーニング費用の50%を超えず、かつ基本給の15倍を超えてはならない。また、労働者に対する支援回数は最大2回までとし、1年間に1回の支援とする。

■筆者: 工藤拓人■-----------------------------------------------------------------
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